「大きな真心をいただいた」
新幹線新大阪駅ホームに駆け上がった妻が、突然前のめりに倒れた。
履いていたヒールのかかとが外れてしまったのだ。
発車ベルにせかされて、そのかかとと荷物を手に、列車にやっとの思いで飛び乗った私
たち。
さて、この靴をどうしようかと途方に暮れてた。
駅ならともかく、列車には修理屋などない。
京都少し過ぎたころである。
斜め前にいた初老のご婦人から、
「これで間に合いませんか?」
と差し出された小さな2本の接着剤。
拝む気持ちでいただいた。
東京タワーが車窓から見えて来たとき、靴は完全に直っていた。
そのご婦人は福山の方で、東京の息子さんご夫婦と、2人のお孫さんに久しぶりのご面
会だとか。
お孫さん2人のためにお土産に買ったプラモデルの接着剤を、
わざわざ箱を開けて取り出してくださったそうだ。
それを知ったのは降車間際ことであった。
とてもとても感謝の気持と、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
小さな接着剤で大きな真心をいただいた私たちの体験である。
街にあふれる「何でやねん」シリーズ
①いろいろややこしい
また、明日。