「あずぶろ。」

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グローバル社会を生き抜く「プレゼン力」は自信から生まれる

グローバル社会を生き抜く「プレゼン力」は自信から生まれる


 わが子が成人を迎える頃には、本格的なグローバル社会がやってくる。少子高齢化がこのままのペースで進めば、現役世代の人口は減る一方。

 人不足を補うために外国人労働者が増え、国籍はおろか言語も文化も違う人たちと仕事をすることが当たり前になるはずだ。

 そんなグローバル社会を生き抜ける人間に育てるために、親は何をすればいいのだろうか

 

なぜ日本人はプレゼンが苦手なのか。

 「プレゼンは得意ですか?」と聞かれて、即座に「はい」と答えられる日本人は少ないように感じる。

 相手の顔色を伺い、気分を害さないよう同調するのがよいことだ。

 日本社会に根強く残るこのような文化が、自己表現の機会を少なからず奪ってきたのかも知れない。

 コミュニケーションは本来、双方向であるべきものだ。空気を読んで、それに沿った言動をするのは一方通行のコミュニケーション。お互いに影響を及ぼさないので発展や成長がない。

 異なる意見を持った人どうしが意見を交換しながら「対話」してこそ、コミュニケーションの意味が出てくる。

 これからのグローバル社会では、一人ひとりの考え方や意見がちがうことがスタンダードになる。

 もちろんそこには、「正しい」とか「間違いだ」とかいう基準はない。言ってみれば、どんな意見も正解である。

 自信を持って自分の考えを表現し、他人との意見の交換から学ぶ。こうした姿勢を身につけた子どもが、将来的に優れた人材になるはずだ。

 私が教師になりたての頃は、学校の世界には今のようなシステムではなかったので、自分で学び、経験をし、散々失敗を繰り返しながら、「ああ、伝える力は訓練で上達するのだ」と学んだ。大人でもこうなのだから、成長途上の子どもならなおさらではないだろうか。

 早いうちに自己表現力の基礎をつくってあげれば、将来の選択肢が増えていくのは明確なことだ。とはいえ、難しいアプローチは一切必要ない。

 私の子育てのなかで、特に効果があったアプローチを綴ろうと思う。

 

毎晩の夕食は子どものプレゼン力を伸ばすチャンス!

 夕食のときに、「今日はどんなことがあったの?」と子どもに聞くという方は多いかと思う。実はこれも、立派なプレゼン練習の機会だ。

 わが家でも夕食時に家族全員が1~2分ずつ、今日の出来事を話す時間を設けている。

 ポイントは、「いつ、誰が、どこで、なにを、なぜ、どのように」という、いわゆる5W1Hがしっかりと盛り込まれていること。

 もし子どもがどれかを伝え忘れていたら、「誰と? どうして?」などと質問してみよう。

 必要な要素を網羅しつつ1~2分に話をまとめるというのは、想像以上に頭を使うものである。

 これが習慣になってきたら、月に1回の3分間スピーチもぜひ取り入れてみて欲しい。

 ちなみに、この「3分間スピーチ」を、学校の「教職員朝礼で実践しましょう」と提案したら、年配の先輩教師たちに、よく分からない論拠で対案もないまま即否決された。また、新年度挑戦するので、この時は引き下がったのだが。

 スピーチと言っても、何も堅苦しいテーマでなくてOK。親に買ってほしい商品の交渉でもいいし、最近友人との間で流行している遊びについてでもいい。

 夕食時のスピーチとちがうのは、聞く人を引きつけるよう工夫を凝らすことにある。

 人間はそれほど長い間集中できるようにはできていない。

 「掴み」の話題のチョイスや要点・結論の伝え方、聞き手のイメージを助ける具体例といったように、わかりやすい説明にはさまざまな仕掛けが要される。

 それを子どもに体得させることが、3分間スピーチの狙いだ。先述したように、この狙いを持って教職員にも試したかったのだが。

 子どものプレゼンに対しては、褒めるばかりでなく、あえて「私はそうは思わないけどな」「別の考え方もあるんじゃない?」と別の意見も提案してみる。

 目的は、子どもの意見を変えさせることではない。

 「そんな考え方もあるんだ」と気付かせ、自分の意見を改めて見直させることで、深い思考力を養う。

 また、ちがう意見が出てきたときに即座に「批判された!」と喧嘩腰になったりネガティブに捉えなくなったりする習慣を身につける訓練にもなる。

 対話力をつけるという点では、普段の雑談のテーマに話題のテレビ番組や本、映画などを選ぶのもオススメ。

 みんなで感想を言い合えば、子どもは「同じものを見ても人それぞれ意見は違うんだ」ということを学ぶ。多角的にものごとを見るためのトレーニングになるし、子どもの価値観を知るきっかけにもなる。

 

「褒める」より「認める」で自信は育つ

 自己表現力はプレゼンをはじめとした訓練で身に付くとはいえ、ベースには「自分は大丈夫だ」という自信も必要だ。

 自信がない子どもは、「失敗したくない……」という気持ちや「自分の言ったことが間違っていたり批判されたらどうしよう……」という心配が先立って、自分の気持ちを伸び伸びと表現できない。すると、何事にも臆病になり、新しい挑戦にも消極的になっていく。

 ではどうすれば、自信のある子に育つのだろうか。

 たくさん褒める? 

 それももちろんいいのだが、私は、「褒める」より「認める」ことを心掛けた。

 子どもを親の従属物ではなく、ひとりの異なった個性を持つ人間として認めるということだ。

 「お母さんはそのままのあなたが大好き」という感じに常日頃からお子さんをありのままに受け入れることは、お子さんが自分をありのままに受け入れ、そんな自分を好きになり、自分を信じる力をつける源だと思う。

 愛されている、大事にされていると感じることは確実に子どもの自信につながる。これは大人もそうであるはず。ですから、わが家では娘や息子に愛していることを伝えていた。

 これは特に、失敗したり思ったような結果が出なかったときに効力を発揮した。

 

自信がつけば、強さも同時に育っていく

 ここでいう強さとは、失敗しても立ち上がることのできる「回復力」や「やり遂げる力(グリット)」のこと。長い人生を考えれば、失敗と無縁で過ごすことなどできない。

 失敗しないことよりも、何度失敗しても再起できることのほうがよほど大事だ。

 回復力やグリットをつける一番のチャンスは、やはり子どもが失敗したとき。

 落ち込む子どもに、失敗の中に隠れている「良かったこと」に気付かせることがポイントだ。

 ただし、こちらから「ここがよかった」「あそこがよかった」と先回りして教えるのではなく、

 「でも、いいこともあったじゃない?」と問いかけ、ポジティブな思考を促してあげる。

 「選択肢は他にもたくさんある」と思えることも、回復力につながる。

 子どもは、選択肢がないから八方塞がりになり「もうどうしようもない……」と思ってしまう。

 柔軟性と想像力は回復力を伸ばすので、それを鍛えるためにも「他の方法もあるんじゃない? 試してみようか」と、お子さんに聞いて欲しい。

 そこで、親が一緒になって方法を考えるのもいいと思う。その時「こうしなさい」と親の意見を押しつけるのは逆効果。

 「お父さんはそんなケースでこうしたけど、もっといいやり方はあるかな?」などと問いかけ、あくまでも子ども主体で進めるようにすると大きな効果が期待できると思う。

 慣れないうちはちょっと面倒と思われるかもしれないが、それも最初のうちだけ。

 この新しい習慣が身に付けば、それが普通のこととなる。そしてそれは、お子さんにきっと良い効果をもたらすだろう。


 自信に裏打ちされた豊かな自己表現力、そして、失敗にもめげない強い心は、子どもの大きな財産になる。

 子どもが将来、襲いくる荒波を乗り越えて自分らしく生きられるかは、今の接し方次第。

 是非、お互いをひとりの人間として尊重し合えるような、成熟した親子関係を目指そう。

 

街にあふれる「何でやねん」シリーズ

①正解できる人おる❓

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また明日。バイナラ。