「あずぶろ。」

僕の頭の中。時々、僕が好きなもの。

「心のコップを上に向けさせろ」

「心のコップを上に向けさせろ」

 

リスペクトする指導者の一人。その方の言葉をそのまま綴ろう。

 

 人間には2つのタイプがいる。

 心のコップが上を向いている人と、下を向いている人だ。

 心のコップが上を向いていれば、周りの人のタメになる話や教えてくれた内容、自分の起きた出来事の全てが、水を注ぐかのように、どんどんコップに入っていく。

 生き方も前向きになり、素直な考え方ができ、真剣に物事に取り組めるんだ。

 反対に心のコップが下を向いていると、周りの人からのいいアドバイスも全く耳に入らない。

 自分に起きたいいこともプラスに捉えられず、水がこぼれるように何もかもが吸収できない。

 そうなるとつねに不満ばかりを持つようになり、後ろ向きの考え方しかできず、やる気も起きない。

 結果的に、両者の考え方に大きな差が出る。

 自分が思い描いたような結果が出なかった時、前者の方は「自分はもっとこうすればよかった」「自分の努力不足だった」と考え、「自責の念」を持つ。

 けれども後者は「どうせ自分にはムリ」「あいつが悪い」と嘆き、「他責の念」を持つ。

 心のコップは感じ方や考え方、そして生き方全般に影響してくるんだ。

 「練習を頑張って、俺は足りないものを埋める。

 3ヵ月後にはレギュラーを取り、誰よりもテクニカルなストライカーになる。

 そのために、誰よりも毎日の自主トレでシュートを突き詰め、私生活もコントロールする。

 今まで自分はすぐに妥協していたが、3ヵ月後の目標に向かって、これまでの失敗を繰り返さない」

 「練習の大切さはよく分かるし、今までチャレンジしてきたけど、俺はどうしても続かない。今回も一応、やってみるけど、たぶんダメだと思う」

 

 この2つの考え方の違いが分かるだろうか。

 前者は「未来」を基準の自分の進むべき方向を考えている。

 自分の理想像を思い描き、そのために何をしなければいけないかを明確にして、そこに向かって進もうとしている。

 逆に後者は「過去」を基準に自分の方向性を考えてしまっている。

 過去がダメだったから、未来もムリ。自分にはできないという後ろ向きの見方しかしていない。

 こうやって比較していけばいくほど、心のコップを上に向けるか、下に向けるかがどれほどの差を生み出すかがよく分かるだろう。

 心のコップが下を向いている指導者や教師、親が、それを上に向けることはできない。

 まずは人を導く立場の人間が変わらなければならないんだ。

 たとえ小さくても、輝く未来の希望に気づかせ、今の自分自身を振り返らせ、心のコップを上に向けてあげる作業は非常に重要だ。

 一度、考え方が変わった人開は、指導者や親に言われなくても、自分で希望の兆しに気づき、主体的で前向きな生き方ができるようになる。

 前向きな未来のために、自分のやるべきことにイキイキと取り組む人生。

 諦めずに成功に向かって突き進む人生。

 その素晴らしさが理解できるように、心に灯をともす作業を、指導者や親は続けていかなければいけないと思う。