「あずぶろ。」

僕の頭の中。時々、僕が好きなもの。

「おじいちゃんのプロポーズ」

「おじいちゃんのプロポーズ」

 

僕のおじいちゃんは、某有名大学出身でとても頭も賢く、

 

運動神経も抜群で、小さい頃はよく勉強やスポーツなど、

 

色々とおじいちゃんに教えてもらっていた。

 

そんなおじいちゃんが大好きで尊敬していたし、誇りでもあった。

 

 

しかし、今はおじいちゃんに勉強を教えてもらっていない。

 

正確に言えば、教えてもらう事ができなくなってしまった。

 

 

僕が高校2年生の頃、おじいちゃんは痴呆症になってしまった。

 

今では、僕の事も、実の娘の僕の母親も分からなくなってしまって、

 

いつも僕たちに、「初めまして」とあいさつをしてくる。

 

 

唯一、奥さんである僕のおばあちゃんの事は分かっているみたいだったけど、

 

ここ最近になって、おばあちゃんの事も分からなくなってしまった。

 

しかし、おばあちゃんは毎日笑顔で、懸命におじいちゃんの世話をしていた。

 

 

今年の年初め、家族みんなで集まって家でごはんを食べようとなり、

 

久々に家族全員で集まることになった。

 

家族の誰一人分からなくなってしまって、とても緊張をしているおじいちゃんに、

 

おばあちゃんが笑顔で家族のみんなを紹介していった。

 

 

すると、いきなり、おじいちゃんは真剣な顔をして、

 

おばあちゃんに向かって話し出した。

 

 

「あなたは、本当に素晴らしいお方だ。いつも素敵な笑顔で僕に笑いかけてくる・・・

 

あなたが笑ってくれたら、僕はとても幸せな気持ちになれます。

 

もし、独り身なら、ぼ、僕と結婚してくれませんか?」

 

 

家族全員の前でのプロポーズだった。

 

 

2回目のプロポーズに、涙をぽろぽろこぼしながら、

 

おばあちゃんは笑顔で、「はい」と答えた。

 

 

 

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では、また明日。