「あずぶろ。」

僕の頭の中。時々、僕が好きなもの。

「どんな状況でも生きているだけで素晴らしい」

「どんな状況でも生きているだけで素晴らしい」

 

 

ある手紙。あなたはどう感じますか。どう生きますか。

 

 

 

 

はじめまして、あなたへ。

 

私は、あなたのことを知りません。

 

そして、あなたも私のことを知りません。

 

そんなん私からあなたへ、手紙を書くのは

 

おかしなことかも知れません。

 

でも、ほんの少しだけでも時間がもらえるのなら、

 

私のわがままに付き合ってください。

 

 

私は、今、病院のベッドの上で寝ています。

 

思い病気に罹っています。

 

 

多分、あなたがこの手紙を読む頃には

 

もうこの世界に存在しないでしょう。

 

だから、生きているうちに、

 

どうしてもあなたに伝えたいことがあるのです。

 

 

私は、人生の中で、

 

あなたに自慢できるようなことは

 

何もできませんでした。

 

 

若い頃、憧れていた職業がありました。

 

でも、その職業に就くことはできませんでした。

 

 

好きになった女性がいました。

 

でも、その女性には振り向いてもらえませんでした。

 

 

私が座りたいと思った席には、

 

いつも他の誰かが座っていました。

 

 

もし、私の人生を映画にして

 

あなたに見せたら「なんてつまらない映画だ」

 

きっとそう思うでしょう。

 

私もそう思います。

 

でも、今、そのつまらない映画が

 

やっと終わろうとしているのに、

 

つまらない人生が終わろうとしているのに、

 

私はこんな手紙を、誰に届くのかも分からない、

 

もしかしたら、誰にも届かない手紙を

 

書いてしまっている。

 

どうしてこんなことをしているのか、

 

あなたには分かりますか。

 

私は怖いのです。死ぬのが怖いです。

 

「これ以上生きたところで一体何の意味がある。

 

待っているのはつまらない人生だけだ。」

 

ベッドの上で、何度自分に

 

そう言い聞かせたか分かりません。

 

でも、恐怖は消えませんでした。

 

私は、死にたくはありません。

 

私は生きたいのです。

 

人を好きになりたい。

 

振り向いてもらえなくたっていい。

 

傷付くだけで終わってもいい。

 

その人のことを考えているだけで

 

幸せになれるあの時間を、もう一度味わいたい。

 

夢を見たい。叶わなくてもいい。

 

恥ずかしい思いをするだけでもいい。

 

それでも、もう一度夢を見たい。

 

つまらない人生を送ってきました。

 

でも、つまらない人生を歩んできたからこそ

 

分かることがあります。

 

それは、そのつまらない人生に、

 

最後の最後までしがみつきたくなるくらい、

 

生きることは素晴らしかった。

 

私は、これまでずっと、

 

夢を叶えることができたら、

 

自分の人生が輝くと思っていました。

 

そして、夢を叶えていない私の人生は、

 

何の輝きもない、つまらない人生だと思っていました。

 

 

でも、それは間違っていました。

 

生きることが輝きでした。

 

生きること、そのものが輝きでした。

 

 

あなたは、今、生きている。

 

そのことが、私にはとても眩しいのです。

 

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