「絶対に言ってはいけない言葉」
本題から少しズレるが、若い先生に限らず、生徒への叱り方を隣で見ていても、何を言っているのかわからない先生、学年集会、全校集会でも何が言いたいのか分からない先生。
その後に叱られた生徒のメンテナンスのためにアプローチしたら、
「あの先生からは、何を怒られていたのか分かリませんでした」と困惑と不満の表情。
多分この指導した先生は、今まで誰にも叱られずに生きてきたんだろうな、と思う。
叱られたことがないから、「叱り方」が分からないのだろう。
その指導した先生は、職員室に戻り、自分の仲良し同世代の前で、「指導したったわ(ドヤ顔付き)」だって。
私が新規採用担当だったら、まずこういう人間は採用しない。
ペーパーだけではなく、模擬指導などを経て慎重に合否決定するけどね。
批判を覚悟で今日も言う。
「もっと勉強しろよ」
本題に戻そう。
親として、教師としての経験上、子どもにとって、親から向けられる言葉の影響力は計り知れない。
子どもにはできるだけ、傷つけるような言葉をぶつけないようにしよう、と心掛けてはいても、私自身も若い時などは思い通りにいかずにイライラしたりカッとなったり。
今回は、自戒も含め「子どもに絶対言ってはいけない言葉」について綴っていこう。
親の言葉が「子どもの人生の土台」をつくる
「いつも穏やかな気持ちで子どもに接したいのに、カッとなるとつい厳しい言葉をぶつけてしまう」
「自分の言葉が子どもの人生に悪影響を与えているのではないかと不安になる」
このような悩みを抱えている方も多いのではないだろうか。
真剣にわが子と向き合っているからこそ、親はいつも悩み、不安を感じてしまうもの。
「今の親は思い込みに縛られていて、せっかく愛情があるのに空回りしていることが多い」。
ネットの情報やSNSなどを見ては、他人と比較して落ち込むこともあるかも知れない。
自分の育児法に自信がもてなくなると、子どもとの向き合い方までもわからなくなってしまう。
親もひとりの人間なので、思い通りにいかない子どもにイライラしたり、感情的になって怒鳴ったりすることもあるだろう。
しかし、親から言われ続けた言葉は、知らず知らずのうちに子どもの心に深く刻み込まれることも事実。
親の言葉は子どもにとって一種の暗示のようなものであり、『あなたはできる』と言われて育った子は恐れずに挑戦する子になるなど、親の言葉が価値観の基礎になる。
逆に、親から「あなたってホンマにアカン子やな」と言われ続けると、子どもの自己肯定感は育まれない。
それどころか、チャレンジ精神が失われ、ちょっとした壁にぶつかるとすぐに諦めるような無気力さばかりが目立つようになるだろう。
このように、親からかけられた言葉が子どもの人格形成や、生きていくうえで身につけておきたい「自己肯定感」に強い影響を及ぼすことはよく知られている。
親が子どもに 「絶対に言ってはいけない」言葉
■子どもの存在そのものを否定する言葉
「あんたなんか産まれてこんかったらよかったのに」
「お前なんておらんほうがええ」
「捨ててしまいたい」
「施設に預けたろか」
これらの言葉は、どんな場合であっても決して言ってはいけない。
もちろんほとんどの親は、このような言葉を発したことはないだろう。
しかし、ときに冗談や過剰な謙遜、周囲への照れなどから軽い気持ちで言ってしまうケースもある。
たとえ冗談でも、言われた子どもは心に深い傷を負うかもしれない。
大人になって何かにチャレンジしようとしたとき、幼いころに親から存在を否定されたことを思い出し、「どうせ自分なんか」と一歩も踏み出せなくなってしまうこともあるので注意が必要。
■子どもの人格を否定する言葉
「あなたって意地悪な子やな」
「何でいっつも迷惑ばっかりかけるんや!」
例えば友だちを叩いてしまったとき、「お前は、人をしばくとか乱暴な奴やな!」と子どもの人格を責めるか、「人を叩くのは悪いことなんやで」と行動そのものに対して注意をするかで、受け取り方は大きく変わる。
人格を否定されるようなことを言われ続けると、だんだんとネガティブになり、『俺はアカン奴なんや』と思うようになる。
あくまでも「子どもの行動そのもの」に目を向けて、人格を否定しないように。
■子どもの能力を否定する言葉
「何回やってもでけへんあかん奴やね」
「お前には無理や」
自分の能力を否定される言葉で叱られ続ける弊害でよく見られるのは、「ダメな自分は親から愛されないのではないか」という不安から、わざと心配させるような行動をとり、こんなに心配してくれているから自分は愛されているんだという確認作業を行なうこと。
また、子どもは自分が叱られながらも、親の口調や態度をよく観察している。
その結果、親の叱り方をまねするようになることもある。
弟や妹、友だちに対して、できないことをとがめるような口調で責めるようになる前に、親自身の叱り方を見直す必要がある。
■兄弟・姉妹や他の子と比べる言葉
「お兄ちゃんはできるのになあ」
「友だちに負けないように頑張りなさい!」
わが子と他の子どもを比べてしまうのは、ちゃんと成長しているかどうか確かめて安心したいから。
しかし、大抵は “できている子” と比べてしまうため、結果的に不安が増してしまうことが多い。
比べられて育った子は、劣等感が強くなり、自分に対してマイナスのイメージを抱くようになる。
比べるなら過去のその子自身、つまり半年前や一年前の姿を思い出して、「ずいぶん成長したな」と前向きに考える。
伝えたいことは間違っていなくても、選ぶ言葉によって子どもの心を深く傷つけることがある。
親や教師が発する言葉の重みや責任について、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうだ。
また明日。