「子どもの “やり抜く力” の育て方 」(前半)
マーク・ザッカーバーグが成功の秘訣と明言し、元アメリカ大統領オバマ氏もスピーチで多用するなど注目を集めている「GRIT」。
今や成功者の条件として認知され、アメリカでは教育の最重要課題とされるまでになっている。
GRITとは?
GRITとは具体的にどういうものなのか。日本語では「やり抜く力」とよく紹介されるが、この言葉には2つの側面がある。
一つ目は、「Guts度胸」「Resilience復元力」「Initiative自発性」「Tenacity執念」の頭文字であること。これら4つの能力を高めることで、“熱意を持って、粘り強く、目標を達成できる人” になることができるというもの。
二つ目に、“grit” には「歯をくいしばる」「困難にあってもくじけない気概」という意味があります。
強調すべきは、GRITはIQや才能には関係のないこと、そして、この能力は先天的なものではなく、後天的に誰でも得ることが可能であるということだ。
天才が成功する確率は約2%。むしろ、才能がないからこそ努力するため、GRITが育まれるのだと言えるだろう。
子どもの時にいかにこの力を身につけることができるかがとても重要で、その後の人生を大きく変えうると言っても過言ではない。
GRITが広く知られるようになるきっかけとなったのが、ペンシルバニア大学の心理学者アンジェラ・ダックワース准教授の研究。アメリカ陸軍士官学校の幹部候補生や教師、企業のセールスマン、スペリングコンテストの参加者など様々な人たちを調査した結果、成功の要因として導き出した答えが「GRIT」だった。検証する過程で、抽象的なGRITを数値化するスケールも作り出しました。彼女を有名にしたスピーチはTEDで観ることができるのでご参考まで。
GRITを持つ人とは?
ところで、GRITを持つ人とはどういう人のことか。とてもいい例がダックワース准教授の本の中に紹介されている。
教会を建てているレンガ職人3人に「何をしているんですか?」と尋ねる。すると、それぞれが「レンガを積んでいるんだよ」「教会を作っているんだよ」「歴史に残る大聖堂を作っているんだよ」と答える。
さて、3人のうち一番GRIT値が高いのは誰だろう? それはもちろん最後の人。この人は “レンガ積み” という仕事を人生の意義にまで高めて熱意を持って働いている。そのため、仕事中にもし難題が発生しても乗り越えることができるだろう。
同じことをしていてもGRITの有無によって得られる成果、さらにはその先の人生に大きな差が生まれることは研究により明らかになっている。
現代の問題点~頑張る力が足りない~
今の若者には闘争心が足りないとたびたび言われるが、それはアメリカも日本も同じようだ。2000年頃から、アメリカでは「自尊心運動」、日本では「ゆとり教育」が推奨され、“大切なのは勝ち負けではなく、楽しければいい” という風潮が定着した。それにより、頑張りの源である心の鍛錬不足に陥った。その結果は学力低下も招いた。
また、インターネットが普及した現在、無数の情報に翻弄され、ひとつのことに集中しにくい世の中になった。
マイクロソフト・カナダの研究によると、人間の集中持久力はたったの8秒。これは何と金魚の9秒よりも短い。現代人の忍耐や根性は予想以上になくなってきている。
しかし、豊かな人生を送るためには、耐えて頑張る力は必須だ。それには困難に立ち向かう経験が必要なのだ。
では、どうすれば子どものうちからこの力を育むことができるのか。
続き(後半)は明日。
あかんやろ。この罰当たりめが。
また明日。