「あずぶろ。」

僕の頭の中。時々、僕が好きなもの。

「一人で何でもできるようになること」が、本当の「自立」なのか。

「一人で何でもできるようになること」が、本当の「自立」なのか。

 

「さて、皆さんに質問です。あなたにとって『自立』とは、一体何でしょうか?」

 

今日の授業で、生徒たち全員に不意に聞いてみた。

 

「一人で何でも自分のことができるようになることだと思います」

「身の回りのことが親とかに手伝ってもらわないで、できるようになることだと思います」

「誰かを頼らずに自分一人でやれるようになることだと思います」

 

生徒たちは、異口同音に「一人で何でもできるようになることが自立だ」という答えが返ってきた。

 

「なるほど。皆さんが教えられてきたことは、もしかしたら間違いなのかも知れません。

先生は、こう考えています。それは『自立』じゃなくて、『孤立』です。」

 

そう伝えて、私はグラフを示しながらこんな統計を紹介した。

 

「これは、小学生、中学生、高校生の自殺者数の推移を示すグラフです。

文科省によると、多少の増減はあるものの右肩上がりとなっていて、20年度は過去最多となる415人でした。

毎日1人以上の小中学生や高校生が自ら命を絶っている計算になります。

06年度から20年度にかけて、小中学生、高校生の人数は約150万人減っています。

自殺率のグラフにしたら、もっと急カーブの右肩上がりになるでしょう。

20年度に過去最多を記録してしまった要因は、女子高生の自殺の増加です。前年度(63人)から倍増以上の131人でした。」

 

授業を受けている生徒は女子が多いので、そんな数字も紹介した上でこう伝えた。

 

「たくさんの人に迷惑を掛けながらも、いろんな人に助けてもらって、自分らしく生きていくこと。

先生は、それが本当の『自立』だと思います。

131人の女子高生は、どうして自ら命を絶つという道を選ばなくてはならなかったのか。

もしかすると、皆さんが答えてくれたような『自立』を教え込まれてきて、

誰かを頼ること、誰かに『助けて』と言うことができなかったのかも知れません。

皆さん、どうか、辛いことがあったとき、苦しいことがあったとき、

自分一人で抱え込んで『孤立』しないでほしい。

今、ここにいる友達や先生や親や、誰かにSOSを伝えて下さい。

伝える人がいないと思ったら、私に連絡して下さい。

先生は卒業しても、いくつになっても、ずっとずっとあなたの先生ですから。」

 

話が突き刺さったのか、泣いている女子生徒もいた。

 

授業終了を告げるチャイムと同時に、

子どもたちは明るい表情で、

小春日和のグラウンドに元気よく駆け出していった。

 

街にあふれる「何でやねん」シリーズ

①セツ子さーん。

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良い週末を。