「あずぶろ。」

僕の頭の中。時々、僕が好きなもの。

「あずぶろ」第700話記念。『日本語の面白さ。太宰治の「走れメロス」、改め、「走るなメロス」』

「あずぶろ」第700話記念。

 

『日本語の面白さ。太宰治の「走れメロス」、改め、「走るなメロス」』

 

いつも「あずぶろ」を読んでいただいているたくさんの方々へ。

飲み会の日以外に毎日綴ってきた「あずぶろ」も、おかげさまで700話に到達しました。

ありがとうございます。

ご長寿ブログ目指して、飲み会以外の日は感じたことを綴っていきます。

 

走れメロスのあらすじ

メロスは、妹の結婚の準備に必要なものを買いにシラクスの町を訪れた。

ところが、町やそこに住む人々の様子が暗く沈んでいるのに気付く。

その理由が暴君ディオニス王(ディオニュシオス2世)が人間不信のために多くの人を処刑しているためだと聞いて、メロスは激怒する。

メロスは王を暗殺しようとして城に侵入するが、あえなく捕らえられて王のもとに引き出されてしまう。

「人間など私欲の塊だ!信じられぬ!」と言う王にメロスは反論する。

当然、王の怒りにふれて処刑されることになるが、どうしても妹の結婚式はしてやりたいと願うメロス。

そのため、シラクスの町に住む親友セリヌンティウスを自分が帰るまでの人質とし、3日後の日没までの猶予を懇願する。

王は死ぬために戻ってくるはずはない、逃げるための方便だと思う。

それならば、セリヌンティウスを処刑し、みんなに人を信じる事の馬鹿らしさを証明してやろうとほくそ笑む。

セリヌンティウスはメロスのために人質となる。

メロスは急いで村に帰り、妹の結婚式をあげ、翌朝早く城にむかって走り出す。

約束の日没まで到着するには十分な余裕があるはずだったが、川の氾濫による橋の流失や山賊の襲来などさまざまな不運にみまわれる。

懸命に切り抜けるメロスだが、疲労困憊して倒れ込んでしまい、王との約束をたがえてしまいそうになる。

セリヌンティウスを裏切って逃げてしまおうかという誘惑にもかられる。

しかし、湧き水を飲み、疲労が回復すると、生まれ変わったかのように再び走り出す。

人間不信の王を見返すため、自分を信じて待ってくれている親友との約束を果たし、その命を救うために。

そして、結果として自分の命を失うために。メロスは全力で、体力をふりしぼって走り続ける。

日没直前、セリヌンティウスがはりつけにされようとする間際に到着し、約束を果たす。

親友セリヌンティウスに、ただ1度だけ裏切ろうとした事を告白して詫び、セリヌンティウスも1度だけメロスを疑う気持ちがよぎったことを詫びた。

そして、2人のこの姿を目の前にした王は改心し、今までの行動を恥じた。

…というお話。

 

走るな!メロス とは?

走れメロスはこれだけ長く愛されてきている、それには理由がある。

日本語には美的スタイルがあり、日本語のセンスというものがある。

そういう感覚を磨くのに、この「走れメロス」という物語は最高だ。

テンポがとてもよく、言葉のリズムが心地いい。

ラストスパートをかけたときの描写がとてもすばらしい。

「早く走る」という描写をあなたが自分で考えると、どうなるか?

 

太宰治の表現は、「少しずつ沈んでいく太陽の10倍の速さで走った

では、この速さはどのくらいか?

沈んでいく太陽の10倍のスピードとは??

 

物語の舞台であるシチリア島は北緯37度。

太陽は動いていないのだから、太陽のスピードとは地球の自転の速さだといえる。

つまり、

  • 太陽のスピード=地球の自転=1,300km/h
  • その10倍なので、1,300km×10倍=マッハ11/h

 

マッハ11ということは、のぞみ号の44倍のスピードでメロスは走る

人の速さを時速で考えてもよくわからないので、100mを何秒で走るか?とかみくだいてみる。

 

驚きの速さ!!!

でも、マッハ11でメロスが走ったとすると、それはもう速いというだけではない。

物が移動すると、それに伴って衝撃波がでる。

メロスがこの速度で走った場合、どういうことが起こるか?

  • 半径2km、ことごとくガラスが割れる。

結論「走るな!メロス」

 

まとめ

科学的な分析をもとにすると、これだけのスピードがでるなんて滅茶苦茶なこと。

でも、日本語で表現する「おはなし」、物語などの場合、「大きく話をすること」で「物事・そのすごさが膨らむ」

そこで、その話の中で伝えようとすることが聞き手や読み手に理解され、しっかり伝わることになる。

そのデータが現実的にどうなのか、ということが問題なわけではない。

 

これが日本語のおもしろさ、魅力である。

皆様のおかげでここまでやって来れました。

最高のGWをお過ごしください。

では、また明日。